四万十中村は、14世紀、応仁の乱を逃れ、この地にたどり着いた前関白・一條教房により開かれた町で、京の都を擬した碁盤の目の街路と、四万十川を下る屋形船の風景は小京都中村と呼ばれるにふさわしく、しっとりとした情緒をまとっている。
四万十市の市花である「藤」にちなんで名付けられた「藤娘(ふじむすめ)」は四万十市中村唯一の酒蔵であり、幡多地区の名醸蔵として知られる。創業当時から高品質の酒造りを目指しており、市場の話題性やニーズに迎合することがない。全国新酒鑑評会で最高位金賞8回受賞に証される通りで、これは「藤娘」の誇りであり、吟醸酒づくりへの情熱の賜物である。近年は酒も多様化し選択される時代であり、酒質が問われる高級酒の需要が増えている中で、藤娘はその味の評価と共に県外への出荷も年々伸びている。
「藤娘」がさらに求めていく酒質は、限りなく淡麗でキレのある酒、元祖「淡麗辛口」の言葉通り土佐生粋の味わいである。杜氏の勘と技に加え、毎年変化する酒米の性質や気候条件などがどのように酒質に影響するかを様々なデータで裏付けし、常に高品質の酒を生み出す。いわば理論的な側面からも酒造りをきっちり追及していこうというのだ。
酒造りの姿勢と品質が実績に証明された酒「藤娘」。地酒ファンにとってはこれから発掘したい”隠れた銘酒”である。
●住所/高知県四万十市中村新町4-5
●電話/0880-34-4131
●創業/江戸末期
●主な出荷先/高知県・東京・大阪
●主な製造銘柄/藤娘