市街から離れて、南へ行くともう一つの土佐市の顔がある。南は太平洋に面した海の町、宇佐(うさ)町である。ここは鰹節・土佐節発祥の地で、土佐近海の新鮮な魚が揚る活気に溢れた宇佐漁港周辺にはいくつかの加工場があり、いぶした手作りの鰹節が香ばしく匂う。
海に山に恵まれ、豊かな土壌から生まれた産物で潤う土佐市の人々が愛する酒は、我が町の酒「亀泉(かめいずみ)」である。「亀泉」は波介川から南へ入った山あいの集落、出間にあり、藩政時代の参勤交代の街道、宿毛(すくも)街道の脇に湧き出でる清水はどんな早魃にも涸れることがなく、その街道一の水を仕込み水に使ったことから万年の泉「亀泉」と名付けられた。
「亀泉」は一般清酒もとより、特定名称酒造りにも力を入れており、現在は全生産量の約18%。純米大吟醸「貴賓(きひん)」を始め、男っぽさを感じさせる中にも、華やかでふくらむ香りがあり、しかもさばけの良い飲み口が特徴。これぞ吟醸酒というバランスのとれた味わいである。それらは、平成8年四国清酒鑑評会では最高位、その他「特選街」’96日本酒大賞では上位入賞酒に選ばれるなど、評価は高い。
先人達の努力を後世に継ぐために、地域に愛され、飲まれる酒造りを続けてきた「亀泉酒造」はもうすぐ1世紀を迎える。こぼれる米一粒をも大切に思いやる気持ちで醸された「亀泉」は米もそうであるように”選ばれた酒”であるに違いない。
●住所/高知県土佐市出間2123-1
●電話/088-854-0811
●創業/明治30年
●主な出荷先/全国
●主な製造銘柄/亀泉・亀泉貴賓・亀泉萬寿