創業明治36年、歌人・吉井勇(よしいいさむ)は「志ら菊は まことうま酒杯をかさねる程に 雄々心の湧く」と詠み、飲み飽きしない淡麗軽快な味わいの酒を貫いてきた。
「志ら菊(しらぎく)」、清楚で奥ゆかしさのある美しいこの銘柄の中には、「仙頭酒造場」の酒造りに対する心粋が写し出されているように思える。地元に親しまれ、飲まれてきた清酒「志ら菊」に加え、ここでは実に個性的で斬新な発想でもって今までにない酒造りに取り組む姿が見逃せない。
華やかな香りとワインのような軽くすっきりとした味わいを持った新日本酒として、平成4年に発売された純米大吟醸「月の志ら菊」。独特のふくらむような香味と口当たりを醸し出すこの酒には、使用酵母に秘密が隠されている。
酒の中でキラキラと輝くように散りばめられたような酒特有のふくよかな香りやフルーティな香りは、実は酵母の働きによって生成されるのである。だから酒にとって酵母は、香味に特徴を与えるという上で大変重要な役割を持っているのである。「月の志ら菊」はワイン酵母と清酒酵母の細胞融合により生まれたという珍しい融合酵母を使用。青く澄んだきれいなボトルのお洒落さも相まって高知県内では女性に人気。眩しい太陽の沈んだ真夏の夕刻、ベランダで夕涼みをしながらキリッと冷やした「月の志ら菊」を飲む… なんていうシチュエーションも似合いそうな酒である。
また平成8年には、新たな試みに挑戦した世界初の酒も完成。仕込み水に深層水を使用した酒、その名も「土佐深海(とさしんかい)」である。このような話題に富む商品づくりのアイデアは、4代目社長の前向きで意欲的な酒造りに対する姿勢の中から生まれる。謙虚で優しい雰囲気を持つ社長からは、「志ら菊」の酒からにじみ出る、柔らかく優しい印象と同じものを感じる。やはり酒は、その蔵が持つ性格を如実に表わしているのかものかも知れない。
●住所/高知県安芸郡芸西村和食甲1551
●電話/0887-33-2611
●創業/明治36年
●主な出荷先/高知県・県外は注文発送
●主な製造銘柄/志ら菊・月の志ら菊