「日本酒の本質は純米酒にありき」と早くから純米酒の製品化に取り組み、県内でもいち早く消費者の嗜好に対応してきた先見型の酒造元として、石数こそ小さいが常に品質本意の酒造りに百年にわたり取り組んできた。
田野(たの)町の小さな商店街の一角にある小さな酒蔵。その小さい蔵の持ち味を存分に生かして、今、最高に魅力的な酒を醸し出している。−美丈夫(びじょうぶ)− 凛々しく端正な、ますらおの酒である。優しく包み込むように、そして深く、しかも切れの良い繊細な味。馥郁たる香りが口いっぱいに広がった時、「美丈夫」の中に秘められた「濱乃鶴酒造」という酒蔵の品格、姿勢そのものを感じるはずである。
また、徹底して高品質小量生産を貫く、というのが濱乃鶴酒造の姿勢だ。そして、何よりも気を使っているのは酒が商品として蔵を出た後の品質管理。専門店できちんとした冷蔵管理をしてもらっているかを把握するため、ごく少数の取引先を大事に、件数をしぼりこんで販売する方法をとっている。
酒はデリケートな飲み物。吟醸酒は特に冷蔵管理が大切である。いくらいい状態で商品を出したとしても、消費者の手に渡るまでに店先で酒がひなたぼっこをしていたのでは品質が変わってしまう。「美味しい状態で飲んでほしい」という蔵の意思を伝えるための努力は惜しまない。もうひとつの濱乃鶴酒造の魅力。それは、社長を中心として杜氏と蔵人、その人達自身ではないだろうか。
●住所/高知県安芸郡田野町2150-1
●電話/0887-38-2004
●創業/明治36年
●主な出荷先/全国
●主な製造銘柄/美丈夫・濱乃鶴